先取り算数 鬼か蛇か

2023年中学受験、サピックスより算数先取り学習で逃げ切るぞ(の奮闘記)

振り返り:チャレンジ校に向けて

日々の学習で苦心しているご家庭には若干ショックな話。某統計分析者によれば、偏差値は学習時間でおおよそ決まるとか。我が家のような「平日&塾なし日:3時間、休日:5~6時間」程度の家庭学習時間だと偏差値は56~60だとか、、まぁ見事に統計どおり。息子の持ち偏差値(本人の平均的な偏差値)は大凡58~59あたりです。昔の上司が「人間の能力なんて面積でみれば皆ほぼ同じ」と言っていたのを思い出します。統計ってすごい…この統計よりも高い偏差値を出す人が、一部の天才と呼ばれる子なのでしょうね。うちの息子は至って平凡です。

だとすると、持ち偏差値を上回るチャレンジ校を目指す場合、根本的に学習時間を増やす必要があり、、、しかも偏差値は相対的なものなので、どのご家庭も受験が近づくにつれて学習時間を増やしていることを考えると、持ち偏差より高いチャレンジ校を決めた時点でほぼ無理ゲーなのでは?我が息子の持ち偏差値58~59からS50%偏差62の聖光学院(あるいは開成)を狙う場合、合判テストの判定は20~30%程度で合格ラインには届かない。統計的な平均として、もうこの判定はちょっとやそっとでは変わらないのです。。

なので、学習時間をそのままでチャレンジ校に挑むのは、20~30%くらいの低い判定のまま、その学校への高いアジャストを狙うということ。。合判で80%判定で実際は不合格な人もいれば、20%判定で合格する人もいる。20~30%判定=3〜5人に1人が合格に入るために、基本は「学校別対策を行う」「その学校の入試への適性を高める」ということにはなるのですが、、我が家では通常時はサピックスのテストとチャレンジ校の求める"形"の違いを意識しました。偏差値を面積として捉え、面積を増やすのではなく、チャレンジ校の求める"形"に適合させていくイメージを探りながら日々数字を見ていました「テストに現れない他の子との差があるか?」という観点で確認したり、サピックステキストの不足を逆にチャンス!と捉えたりして、息子よりも高い偏差値60〜62くらいの子を逆転することをイメージしながら。。

僕の見立てでは、先取り算数で幅広い問題パターンに当たっていた息子には、合判テストに現れない算数の潜在能力があったと思います。この潜在能力をチャレンジ校の聖光学院に適する"形"に変形させ、他の子には無い隠れた力としていく。これができたのかどうか真相はわかりませんが、(過去問全敗だし)、少なくとも、その潜在能力とその"形"を信じることで、サピックスの成績が振るわなくても可能性に賭けることができた、というのはあります。おそらく、低い判定で合格を得る人は、何かしらこういった拠り所のようなものを持っているのだと思います。ちなみに今年の開成は算数が超易化で、算数満点でも不合格者続出とか・・学校の求める"形"が変わったということ、、こうゆうことがあるから一発勝負の受験怖い。。

振り返り:サピックスという学校

4年生になる前、塾選びで何個か候補を挙げながらサピックスを選択しました。サピックスの特長は、関東を中心とした1学年7000人程度の圧倒的な生徒数と、テキストを中心とした均質な授業。そして、毎月のテストで学年順位が出てくるので、関東を中心とした巨大なブリッジスクールに通わせているイメージです。ここまで大きいと、もう「転塾させた方がいいのだろうか?」みたいに悩むこともなく、どう塾に適合させるかを考えることになります。つまり、「塾で成績を伸ばす」のではなく「塾の成績を伸ばすことを各家庭が考える」という形に。

受験が終わったこの時期なので言うと、息子にサピックスが合っているとは思えませんでした。特に国語なんかは、サピックスでただ虐められているのではないかと思うくらい、ブロック最後方の席で3年間耐えた息子を想像すると胸が痛くなります。。理算の日は最前列で調子に乗っている息子と、国社の日に最後列で影のようになっている息子。相談してもそっけない返答の講師。。理科・社会については、なんでこんなに?っていうくらい膨大なテキスト。とても子供が整理できるようなものでは無く、これはもう、妻の献身的な努力無しには成就し得なかったです!

算数に関しては、我が家の場合は大部分を家庭の先取り算数でこなしていたので、サピックスに行くのは演習代わりというのと、他科目で気持ちを落ち込まないための調整剤でした。算数だけで考えると、4年〜6年のカリキュラムの中でいいと思うのは4年生の夏期講習、6年生の通常授業、6年生後半の土曜特訓くらいで、、あとは要らんかったんじゃないかなぁ。。しかし、サピックスの動向は戦略を立てるにおいては欠かせない情報でした。ライバルはサピックス生と考えて、サピックステキストへの不満はアドバンテージに変えるという意識で家庭で補強しました。サピックスに潜入したスパイのような目で日々のテキストを眺めていたことを考えると、息子ではなく親の方がサピックスに合っていたのではないかと思います。。卒業、おめでとう!

振り返り:国語と算数のバランス

サピックスに通いながらも算数の先取り学習をすることについて、それが成功か失敗かは今でもはっきりとはわかりません。全体のバランスを崩しかねない方法なので、そのあたりは意識しておいた方がいいと思います。

元々は「中学受験は算数で決まる」という妻の思惑に乗せられて始めた先取り算数ですが、途中で気づいたのは、算数だけじゃ決まらない!ということ(当たり前ですが・・)。理科・社会はとにかく量が多くて大変、、これは量をこなしてなんとかするとして、、やはり国語と算数が大きいです。この国語と算数のバランスをどうするか、モチベーションをどう保ち続けるか、色々と考えどころかと。。うちの場合は、4年生から先取り算数を始め、算数を得点源にできる見込みがついたので算数を先行させて中軸としましたが、もし国語の方が強かったり学習意欲が国語寄りであったりするならば、国語を先に伸ばすというのもアリだと思います。僕が思うに、個人差があるにしても算数はやればやるだけ伸びるけど、国語は伸ばそうとしてもなかなか伸びない。。6年生になった時点で、国語が得点源にできるほど強ければ、受験までの戦略はずっと立てやすいと思いました。もし国語を伸ばせる良い時期、良い学習方法があるのならば、多少他を犠牲にしてでもやった方がいいと思います。でも、難しいですよね・・うちの子は4年生の後半で国語が弱いことが判明し、塾でも学校でも自他共に認める「算数できて国語できないキャラ」というのを確立してしまったようです。結局、息子は精神的に幼かったこともあり、ある程度精神が発達してからの後半期に望みを託す戦略とし、その結果、最後の最後まで国語に苦しめられました。ただ、今振り返ってみても、息子の国語を先行させて得意科目にする術はイメージできず・・算数と国語は相反する頭脳なのか?という疑問に長期間悩まされもしましたが、結局息子の場合は、成績を上げるには算数の先取りしかなかったのではないか、、算数だけでもできたのがモチベーションを保てる救いであったように思います。

あと、先取り算数にはもう一つの注意事項が。6年生の夏頃の話、受験の先輩親からは「6年生後半で伸びるよ〜」と激励されていたのですが、僕は当時から懐疑的で、結果が出た今でもそんな単純では無いと思います。少なくとも、算数では先取りをしている限り6年生後半での伸び幅は相対的に小さいはずです。そして、6年生後半も注力して頑張った国語の方は、伸びるというより「周りに離されないように食らいつく」という感覚です。なので、先取り算数をしている場合、6年生夏以降のジャンプアップはなかなかに難しいのではないかと思います。まさに逃げ切りのイメージです。それでも、前回のブログでも記載したように「学習ペースを作りやすい」というのが算数先取りのプラスに思うところで、メリットは十分あると思いますが。。